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AIを手軽に活用!ワンランク上の業務自動化を実現するワークショップレポート(2017/08/25開催)

コグニティブAIのビジネス適用可能性を実感できるワークショップとなりました!

8月25日に開催されたワークショップは今注目の「コグニティブ技術」に焦点を当て、現状の適用範囲や適用用途を探る大変有用なワークショップとなりましたのでレポートいたします。

AIを手軽に活用!業務自動化ワークショップ


基調講演

Microsoft Cognitive Servicesが実現する業務自動化


まず、日本マイクロソフト株式会社 テクニカルエバンジェリスト 松崎 剛 氏の基調講演からスタートしました。

日本マイクロソフト テクニカルエバンジェリスト 松崎氏写真写真は日本マイクロソフトの松崎氏

最初にMicrosoftが考えるAI全体像の中でのMicrosoft Cognitive Servicesの位置付けが図1を用いて解説されました。
Microsoft Cognitive Servicesとは、「マイクロソフトが学習させた学習済みエンジンがクラウド上にあり、それをREST APIで呼び出すだけで答えが返ってくる誰もが手軽に使えるサービス」です。図1では左側のサービスほどデータサイエンスの知識を必要としない安価なサービスとのことです。

Intelligent Cloud Platform概念図図1 Intelligent Cloud Platform

続いてMicrosoft Cognitive Servicesで提供されている具体的なサービスについて説明がありました。

Microsoft Cognitive Servicesとしては、図2にあるような画像やビデオの判別、音声のテキストへの変換、文章解析、人の喜怒哀楽の読み取りなど様々なAPIがすでに提供されています。しかし現状のCognitive Servicesではできないこともあるそうです。例えば、明瞭でない文字を認識したり、特定業界のターミノロジーに対応させたりといった場合には、
Azure Machine Learningやニューラルネットワークのライブラリを使用して自分で学習させなければならないケースがあります。
但しMicrosoftはカスタマイズできるCognitive APIも手がけ始めているとのことで、これらが実装されるとMicrosoft Cognitive Servicesを使って簡単に自分で学習させることもできるようになる日も近いそうです。そうなるとCognitive Servicesの利用範囲は一段と広がっていきそうですね。

Microsoft Cognitive Service一覧図2 Microsoft Cognitive Service一覧

現状のCognitive Servicesで実際どのレベルまで解析ができるのか下記のサイトで試してみることができるとのこと。
https://azure.microsoft.com/ja-jp/services/cognitive-services/computer-vision/

私の方でもチラシを読み込んで試してみました!かなりの精度で読み取りできますよ(図3)。

Cognitive OCR機能を実際に試したところ図3 Cognitive OCR機能の精度

そして講演の最後には、Uberや Volvo,アサヒ飲料などCognitive利用企業の具体的な事例紹介が行われました。

当日の資料はこちらでご覧いただけます。

 

ASTERIA WARP Azure Cognitiveコンポーネントのご紹介

続いてはインフォテリア株式会社 第1研究開発部 部長 一刀 卓より、Microsoft Cognitive Servicesをノン・プログラミングで簡単に利用できるASTERIA WARPコンポーネントの紹介が行われました。
Azure Cognitiveアダプターの詳細はこちら

一刀によるASTERIA WARPコンポーネントの紹介

まず初めに2017年5月にリリースされた図3に示す3つのコンポーネントを紹介。

AzureOCR、AzureTagimage、AzureThumbnailの紹介図3 2017年5月にリリースされたAzure Cognitiveコンポーネント

これらは図4にあるようにとても簡単なフローを設定するだけで利用できます。

処理フロー図図4 Azure Cognitiveコンポーネント利用フロー

ハンズオンで実際に名刺を読み込んでみるとかなりの精度でテキスト化できることがわかりました!

続いてワークショップ当日に新たにリリースされた図5に示すAzure Cognitiveコンポーネントも紹介されました。

AzureTextModeration、AzureImageModeration図5 新たにリリースされたコンテンツフィルターのためのコンポーネント

水泳選手やレスラーの画像を使ってどこまでフィルタリングされるのかのデモンストレーションも行われました。

 

参加者からは次のようなアンケートコメントが寄せられました。

  • UIの重要性がとてもよくわかりました。わかりやすい
  • デモがわかりやすかったです
  • 日本語の認識精度が現状では使えないのでは?
  • AzureOCRに関心がある
  • サービス開始直後であったが、もう少し実例を知りたかった
  • かなり簡単に使えることが理解できました。
  • 早速使ってみたいです。がバージョンが不安…
  • デモを体験し、理解が深まりました

当日のプレゼン資料はこちらからご覧いただけます。


さらに、こちらの記事もオススメです。
画像を認識する「Cognitive 機能」を使って、画像から様々な情報を取得し、その視覚データをタグ分類してみた
Microsoft Azureのコグニティブ機能を使って、コンテンツをモデレートしてみた

 

アイデアソン

最後にMicrosoft Cognitive Servicesのビジネス適用についてのアイデアソンを実施しました。

参加者達によるアイデアソン

事前告知していた最優秀賞に加え、日本マイクロソフト賞も2枠用意され、以下のアイデアが入賞。入賞者には副賞が授与されました。

最優秀賞

学生や生徒の理解度や満足度を測る(日立ハイテクフィールディング 太田 様)

授業中の学生や生徒の表情を読み取り、理解度や興味の度合いを分析することで授業の質の向上や学生の成績アップに役立てる

日本マイクロソフト賞

メールデータから業務用語集を作成(フォーバルテレコム 内海 様)

送受信されるメールを解析し、その中に出てくる専門用語を抽出。その専門用語をもとにその企業に必要な用語、知識をまとめ、新入社員マニュアルやアルバイト育成などに役立てる

日本マイクロソフト賞

eラーニングの理解度向上、質の向上(ベネフィット・ワン 岩崎 様)

eラーニング受講者の表情や仕草(「わかったら頷いてください」などの問いかけを入れるなど)を解析し、理解度に応じ詳細説明を実施できる仕組みを構築し、理解度向上を図る

 

また上記以外にも大変有用なアイデアが多数出されましたので、そのいくつかを下記に紹介いたします。

●異常音検知による故障予知
装置が出す音の波長を可視化することで、正常時の波長と異常時の波長の違いを分析し、故障箇所の早期発見や故障予知に役立てる

●歯の治療中の利用
歯医者さんが歯の検査をする際に虫歯の位置を読み上げると自動で記録される。
また、歯の治療中に痛い表情をすると手を上げなくとも歯医者さんに伝わり治療を中断できる。

●冷蔵庫管理
冷蔵庫の中身をリスト。どこにいても冷蔵庫の中身がわかるようにする。また、庫内の食材を使ったレシピの提案を受けとったり、日々の食品を時系列的に管理することも可能に。

●保育士支援
保育園で子供の表情を監視し、泣いている子がいたら保育士に通知がいくようにする。

 

参加者の皆様からはアイデアソンについて次のようなコメントをいただきました。

アンケートに記載されたコメント

  • 面白い、たくさんのアイデアを知れて良かった
  • たのしかったです。
  • 最後のアイデアシートの時間が短い
  • 実際に商品になりそうなアイデアがありました
  • すこし時間的にきびしかったと思います。
  • 冷蔵庫は実現するといいです
  • 皆様の考えが聞けて良かった
  • 楽しかったです!

編集後記

短時間のワークショップではありましたが、講義、デモ、ハンズオン、アイデアソンを通してコグニティブ技術のビジネス適用の大いなる可能性をご理解いただけたのではないかと思います。未来の技術と思っていたAIがこんなに身近で簡単に活用できることに驚きを隠せませんでした。ご参加いただき多数のアイデアを出された皆様、大変ありがとうございました。


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